時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

本当に原発再稼働しなくて大丈夫?-電力高騰の恐怖

 自民党の圧勝が予測される中、野党勢力は、こぞって原発再稼働の問題を争点にすることで、支持率のアップを狙っているようです。再稼働賛成派には、有無も言わさずに”悪者”のレッテルが張られそうですが、本当に、原発を再稼働させなくても、大丈夫なのでしょうか。

 このまま原発停止の状態が続きますと、電力料金の高騰は避けられません。第1に、火力用の燃料費により、毎年3兆円ほどのコストがかかっています。現在は、電力会社の社内留保を取り崩しているために、電力料金への上乗せは抑えられていますが、電力会社の体力が消耗し尽されますと、このコストは、ストレートに電力料金に跳ね返ってきます。第2に、代替電力として再生エネの導入が急がれていますが、現行の仕組みでは、再生エネの買い取りが増加するほど、電力料金は上がるというものです。また、再生エネの普及には、蓄電設備などの設備投資が必要であり、その費用も莫大です。設備投資分も電力料金に転嫁されますと、さらに電力料金は上昇します。加えて、第3に、原発廃炉が決定されますと、その廃炉費用も電力料金に上乗せされます。全原発廃炉ともなれば、数兆円規模のコストが生じるのです。電力が自由化されれば、競争が生じて価格が下がるとの期待の声もありますが、電力不足の状態では、需給のバランスから価格が、安くなるどころか、逆に上昇する可能性も否定ができません。考えただけでも恐ろしくなるような電力高騰が、近い将来、発生するかもしれないのです。

 原発再稼働による電力高騰は、電力料金と製品価格への転化により、国民生活を圧迫しますし、産業の国際競争力を著しく損ねることは言うまでもありません。産業の空洞化が進めば、国民の多くが職も所得も失いかねないのです。原発再稼働反対派の人々は、電力高騰に対する何らの対策もなく、選挙向けに国民を煽っているだけであるならば、あまりに無責任であると思うのです。

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