時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

佐村河内氏事件―詐欺とは社会悪

 被爆二世、かつ、全聾という障害を克服して数々の名曲を世に送り出す天才として持て囃された佐村河内守氏。海外では日本のベートーベンとまで評されたそうですが、実は、全曲ゴーストライターの作であることが判明し、厳しい批判を受けています。

 ところが、信じられないことに、テレビや週刊誌などでは、”そんなに悪いのか?”といった擁護論も出てきています。氏の背後には、巨大宗教団体の影が見え隠れしているそうですが、悪いものは悪いに決まっています。全てが、嘘で塗り固められているのですから。第1の嘘は、言わずもがな、真の作者は、新垣隆氏であったことです。第2の嘘は、障碍者手帳の交付を受けながら、実は、全聾ではないことです。本人は3年前から聴覚が回復したと説明しているものの、嘘つきの説明を信じる人はほとんどいないはずです。第3に、プロフィールとして掲載されている経歴もまた、ゴーストライターのものであり、人生そのものが嘘でした。第4に芸術家の仮面を被った俗物であり、障害を持つバイオリストの少女一家に対して脅迫を行っています。心優しいと見せかけた人格もまた嘘なのです。そして第5に、佐村河内氏に騙された、としている周囲の関係者もまた、本当は正体を知っていた可能性が高く(障碍者認定した医師も含めて…)、本人のみならず、周りの人々もまた嘘つきであるかもしれないのです。

 他者を騙そうとして吐いた嘘は、必ずや誰かを犠牲にするものです。それは、宣伝を信じてCDやコンサートのチケットを購入した人々であり、氏の作と信じて氏を郷土の誇りとしてきた広島県であり、嘘に巻き込まれて共犯者となった人々であり(この場合は、本人の責任もありますが…)、そして、虚偽によって腐敗させられた日本の社会そのものです。佐村河内氏を擁護する人々は、この犠牲と損害をどのように考えているのでしょうか。

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