時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国の「慰安婦白書」―非公開とされた河野談話の慰安婦証言も掲載すべき

 河野談話の作成過程の再検証結果が発表された際に、韓国政府は、”厳しい対抗措置を採る”と明言しておりましたが、国際社会における「慰安婦白書」の発刊が、韓国側の対抗措置に当たるようです。
 
 「慰安婦白書」の発刊は、来年末を予定していますが、その内容は、「関係資料や研究成果に加え、国際機関や市民団体の活動内容を基に、慰安婦制度の犯罪性や被害の実態を総合的に整理、分析する」ものなそうです。仮に、韓国政府が、白書によって国際社会を納得させようとするならば、必ず掲載しなければならない資料があります。それは、河野談話の根拠とされた元慰安婦達の証言内容です。日本国政府は、河野談話の経緯は再検証しても、元慰安婦の証言内容については、韓国に対する配慮から、裏付け調査を見送りました(辻褄が合わない証言が多いことは、既に判明している…)。韓国政府が、河野談話は絶対的に正しい、あるいは、アメリカの慰安婦像に刻まれている”日本軍による20万人アジア女性強行連行”は事実である、と主張するならば、それを支える元慰安婦の証言を公表しないことには、誰も、韓国の言い分を信じないことでしょう。匿名にするなど、元慰安婦達のプライバシーに配慮した方法もあるはずです(もっとも、国際宣伝活動や裁判などでは、既に多くの元慰安婦達が実名を明らかにしている…)。
 
 果たして、韓国は、「慰安婦白書」を以って、国際世論を対日糾弾に導くことはできるのでしょうか。河野談話の唯一の根拠となる元慰安婦の証言さえ掲載されていないようでは、むしろ、韓国に対する疑いが深まるのではないかと思うのです。
 
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