時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

五輪大会組織委員会は日本国の名誉を守るべき

 オリンピック・パラリンピックは、開催地こそ地方自治体ですが、それでも、財政面をはじめ様々な形で国の支援を受けて開催されますので、国を挙げての行事といっても過言ではありません。国民も納税を通して費用を負担しておりますので、決して部外者ではないのです。

 否が応でも国民の関心を集めるオリンピックですが、2020年の東京オリンピックパラリンピックでは、新国立競技場の白紙撤回に次いで、エンブレムの盗用問題が深刻さを増しております。デザイナーの佐野研二郎氏につきましては、他のデザインに関しても盗用が発覚しており、日本国民の多くは、エンブレムの継続使用については否定的です。デザインに対する好感度も然ることながら、盗用を疑われたエンブレムに対する嫌悪感が働くのは、開催国の国民としては当然のことです。あまりにも不名誉なことであるからです(たとえ違法と判断されなくとも…)。ところが、昨日、五輪大会組織委員会は、ベルギーの劇場ロゴのデザイナー側に対して非難声明を公表したと報じられております。公的機関であれ、民間の企業であれ、日本国では、提訴された場合には、”訴状の書面をよく読んで確認し、今後の対応につきましては、慎重に検討したまいりたいと思います…”が凡そ常套句となってきました。”逆ギレ”と称されたように、この慣習からしますと、五輪大会組織委員会の対応は、驚くほど攻撃的であり、感情的なのです。批判で応じるのではなく、法廷で真偽を明らかにする姿勢を見せた方が、遥かに紳士的ですし、正々堂々と闘うことを旨とするオリンピック精神にも適う態度です。

 この意味において、五輪組織委員会は、二重に日本国の名誉を損ねているように思えます。第一に、盗用を疑われているエンブレムを擁護したことにおいて、第二に、”逆ギレ”批判で、法治国家としての信頼性を落としたことにおいて・・・。五輪大会組織委員会は、自らの保身よりも、日本国の、そして、日本国民の名誉を最優先にすべきではないかと思うのです。

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