時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

五輪エンブレム-伝統文様を活かしては?

 先日、公表された五輪エンブレムの案が、どれをとりましても今一つのデザインであることを記事にいたしました。いささか手厳しい批評となり、言い過ぎた感もあるのですが(デザイナーの皆様ごめんなさい…)、今後とも、日本開催でイベントがある度に、同様のエンブレム問題が起きないとも限りません。

 そこで、考えてみたのですが、日本古来の伝統様をアレンジしてはどうかと思うのです。”パクリ問題”とは、新たに創作されたデザインでありながら、既に成立している他のデザイナーの商標権や著作権等の侵害していたことにより発生します。公募による五輪エンブレムの選考過程でも、他に類似した作品があるかどうか、海外をも含めた調査には相当の時間が割かれたようです。全世界の作品に当たらなければならないのですから、その苦労は察して余りあります。しかしながら、初めから伝統文様のアレンジであれば、こうした問題は起こりません。何故ならば、紋、衣装柄、襖絵、扇子絵などに古くから使われてきた日本の伝統文様には、商標権も著作権もないからです。つまり、誰がどのように使おうとも、自由なのです。

 伝統文様をベースとするのであれば、日本らしさは自然に表現されますし、盗用問題に煩わされることもなくなります。先人の優れた美意識とデザイン感覚を現代に蘇らせることができれば、エンブレムの作成は、日本文化の過去、現在、未来を同時発信する貴重なチャンスとなるのではないかと思うのです。

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