時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

野党の敗因は思考倒錯

 昨日実施された参議院選挙は、国会での改憲勢力が3分の2を占める結果をもたらしました。この選挙結果については、既に様々な角度から分析がなされておりますが、少なくとも、野党陣営の敗因は、憲法第9条に関する思考倒錯にあったのではないかと思うのです。

 現行の日本国憲法制定以来、実のところ、日本国の政界は、思考倒錯という重大な問題を抱えてきました。思考倒錯とは、順序が逆さまになった思考回路を意味しており、この考えに染まりますと、現実問題に対する対処能力を失うという忌々しき状況に至ります。憲法第9条に関する思考倒錯とは、通常の思考回路、即ち、政治における常識的な思考回路が、現実問題の認識⇒対策⇒解決(平和)であるにも拘わらず、思考倒錯が起きると、最後の結果となるべき平和(第9条の堅持)が先に来るため、対策は無用となり、現実問題も頭の中では消えてしまうのです。つまり、後にも先にも憲法第9条の護持が重要であり、”現実に的確に対処し、平和を実現するために何を為すべきか”という発想が入り込む余地がないのです。思考倒錯は、思考停止をも帰結します。

 今般の選挙結果を見ますと、野党陣営は、自らと国民との間に思考回路のずれが生じている現実に気が付いていないようです。この無自覚さこそ、国民からの信頼を得られない最大原因なのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。