時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

本能寺の変後の世界支配志向勢力の動向

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。イエズス会と近い関係にあった、もしくは、イエズス会の隠れ組織であると考えられる世界支配志向勢力は、新教国の躍進に対応するために、どのような政策を遂行していたと考えられるでしょうか。新教国のなかからスペインやポルトガルの替りとなるような国家を寄生国家、傀儡国家となすよう探したのでしょうから、それは、当然、欧米各国であったと考えられます。すなわち、まずは、かつてのスペインやポルトガルのような、経済力や軍事力でその支配権を他の地域にも及ぼすことのできるような国家探しからはじめた、と推測することができるのです。
 
そこで、特に、交戦権も含めた国家主権の所在の問題を考えますと、10の基本戦略にも示されますように、王室をターゲットとした計画が進められたと推測することができます(米国の場合は大統領)。18世紀から20世紀初頭にかけては、ヨーロッパ各国も「君主主権」の状態に近かったことから、国王を傀儡化させることで、まずは、交戦権を確保し、その軍事力を用いて、他の地域を征服することで世界支配を目指したようなのです。
 
アジアにおきましては、日本国は、格好の拠点として位置付けられていたことでしょう。経済力・軍事力、そして、国民の質の高さから、傀儡化させることができれば、日本国は、大いに、世界支配計画の遂行に役立つからです。ところで、『大日本帝国憲法』には、「第一条 大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス」、「第十一条 天皇ハ陸海軍を統帥ス」、「第十三条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス」とあり、統帥権天皇に所在していたことがわかります。後に統帥権干犯問題が発生いたしますが、この点は、ヨーロッパの立憲君主国とも共通します。『プロイセン憲法』の第46条でも、「国王は軍の最高指揮をとる。」とあり、封建制度から発した立憲君主制をそのまま日本国の国制にも当て嵌めたこととなります。言い換えますと、君主の権力の掌握こそ、世界支配計画にとりましては、目指すべき目標となったと考えられるのです。

このことは、天皇を傀儡化させることで、世界支配志向勢力は、日本の軍隊を用いることができたことを意味しております。明治維新以降、日本国では、自由民権運動などが起こり、民主主義に根差した立憲主義的な政治システムの構築や人々の政治意識の改革が進んでおりました。しかし、こうした動きと並行して、‘悪魔の計画’もまた、進んでいたことになります。

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(続く)