時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

‘現代ユダヤ人’は対極にある2種類の人々から成る

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。‘現代ユダヤ人’につきまして、これまで本ブログにおいて述べてきたことから、以下の点が指摘できるようです。
 
1)現代ユダヤ人は、先祖伝来のユダヤ教徒と、後からユダヤ教徒に改宗した2種類の人々からなる。そもそも‘ユダヤ人’とは、特定の民族名ではなく、神様から与えられたとされる「モーゼの十戒」を信じる人々の集まり、すなわち、信者集団であることから、現代ユダヤ人は、後にユダヤ教に改宗したネオ・ユダヤ人をも含むようになっている。

2)先祖伝来のユダヤ人とは、シュメール出身のアブラハム一族を中心としながらも、出エジプトの際に組織された人々のことであり、人類社会の存続条件となる基本的社会規範を定めた「モーゼの十戒」を尊重するとともに、また民主主義的国家観も有していることから、神様から‘選ばれし民’であることを自認していた。キリスト教徒があまり従事することのなかった金融業を営む場合が多かったため、しばしば非難されることはあったが、キリスト教社会と、さはど対立することは無かった。先祖伝来のユダヤ人たちの間から、キリスト教が成立したことに示唆されるように、思想的に近いキリスト教への改宗率も高かった。

3)ネオ・ユダヤ人は、古くは紀元前後のアラブ系のイドメア人をはじめとして、後にユダヤ教に改宗した人々のことである。キリスト教世界にあって、先祖伝来のユダヤ教徒たちは、宗教上の生活慣習の違いから、集住する傾向にあった。このため、特に中世以降は、その集住地に入り込んできた隠れイスラム教徒、モンゴル由来の人々、盗賊や匪賊などのアウトサイダーたちが、ネオ・ユダヤ人としてユダヤ人に加わった。ハザール人などは、アシュケナージュとして、キリスト教社会に馴染んだが、その一方で、形ばかりユダヤ教に改宗しているため、「モーゼの十戒」を守らず、非民主主義的な思想の持ち主も多く、このためキリスト教社会から忌避されるようになった。
 
このように、まったく正反対の思想と性格を有する2種類の人々が現代ユダヤ人を構成しているようなのです。近現代におきまして、ロスチャイルド家に象徴されますように、むしろネオ・ユダヤ人の方が、社会的影響力も大きく、また世界支配計画を積極的に遂行していると考えられます。
 
アンネ・フランクの「ユダヤ人の中に、悪い人がいるから、私たちまで、このようなひどい目にあってしまう」という嘆きの言葉は、まさに現代ユダヤ人の構成問題を表現しており、今日におきましても、現代ユダヤ人に起因するような課題や問題を扱う場合には、これらの2種類の人々を峻別して考える必要があると言えるでしょう。

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(続く)