時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

今日の移民問題を想起させるモンゴルの侵略の手口

 本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。モンゴルの急速な拡大の要因、すなわち、侵略の手口として、「外交使節は冒すべからざる存在」であると位置付け、野蛮で無礼なモンゴル使節に何らかの侮辱や危害が加えられると、罰すべき犯罪国家と主張して、進軍を開始相手国を犯罪国家に仕立て上げる点を指摘いたしましたが、仮に、このような外交官を丁重に扱い、平和条約を結びますと、どういうことになったのでしょうか。
 
この点が、モンゴルの特徴として挙げた10点のうち、第3点である「口実を設けて、侵略対象国と平和条約を結び、その後、一方的に条約を破って侵略を開始した」となります。そのやり方は、ガブリエル・ローナイ氏の『The Tartar Khan’s Englishman』によりますと、「Mongol envoys used ‘fictions’ in order to prevail ‘on some simple kings to make a treaty [ofsubmission] with them, and grant them a free passage through their territories’(モンゴルの使節は、単純素朴な国王達に条約を結ばせて、モンゴル人が、彼らの領土を自由に通過する権利を保障させるために、‘事実に反するつくり話’を用いることをむねとした)」という方法となります。
 
すなわち、条約にもとづく通行権があるとして、モンゴル人(実はモンゴル軍)は、勝手に国境を越えて相手国に入ってくるわけです。相手国も、モンゴル人(実はモンゴル軍)は、領土内を通過してゆくだけであろうと何ら対応を行わないでおりますと、実は、侵略軍であり、モンゴル軍は、すでに相手国内に展開しており、あっというまに、征服されてしまうということになるのです。
 
このモンゴルの手口は、今日の移民問題を想起させます。移民や難民は、国境を越え、合法的に他国の国内に入ってくるわけですが、移民受け入れ国内における度重なるテロ事件の発生は、その移民や難民の背景には、果たして侵略の意図を持つ何らかの勢力があるのではないか、という疑いを生じさせていると言うことができます。こうした勢力が、仮に、モンゴルの常套手段に倣っていると考えますと、トランプ政権の移民制限策に対しまして、賛同する人々が多いことも頷けるでしょう。

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(続く)