時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本の植民地化を目指した「裏イエズス会」

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。フランシスコ・カブラルの布教方針として、カブラルが、日本人が司祭になる道をも閉ざしていた点にも注目する必要があります。

5月29日付本ブログにて述べましたように、カブラルは、日本人を黒人で低級な国民と呼び、日本・日本人は、非文明世界に入るべき存在として扱っていたようです。このようなカブラルの日本人評は、ヴァリニャーノ、オルガンティノ、トーレスたちの「われら(ヨーロッパ人)はたがいに賢明に見えるが、彼ら(日本人)と比較すると、はなはだ野蛮であると思う。(中略)私には全世界じゅうでこれほど天賦の才能をもつ国民はないと思われる」とする日本人評と180度異なっているのですが、いずれにいたしましても、カブラルの日本人蔑視主義にも、「裏イエズス会」の世界戦略が見えてまいります。

それは、「裏イエズス会」が、所謂「奴隷国家」や「奴隷民族」としたい国家や民族に対して、非文明化を推し進め、その国の文明・文化を破壊して、原始的生活の奴隷国家・奴隷民族となすという恐ろしい世界戦略です。「植民地化」という言葉でも表現できるかもしれませんが、植民地化よりも、なお残酷な文明破壊主義であると言えるかもしれません。
 
事実、カブラルによって洗礼を受けてクリスチャンとなった大友宗麟(ドン・フランシスコ)は、その領国内の寺社仏閣の所領を没収するとともに、徹底した廃仏毀釈を行い、多くの文化財が失われることになりました(あるいは、神像や仏像などの文化財は、本当は破壊されておらず、ポルトガル商人を通して、輸出されていたのかもしれません)。表向きは、領国内にクリスチャニティを徹底させるためと称しながら、真の目的は、日本国・日本人の文明・文化の破壊であったと推測することができます。

どうやら、日本国・日本人は、「裏イエズス会」によって、「奴隷国家」や「奴隷民族」となるべき対象となっていたようです。日本人は、奴隷ということで、カブラルは、日本人が司祭になる道をも閉ざしたと考えることができるのです。

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(続く)