時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ブリューゲルの『雪中の狩人』の怖い寓意

  今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。カトリックの外部組織であったイエズス会が結成され、日本での布教も含め、アフリカ、アジア、新大陸で布教を行う切っ掛けとなったのは、カトリックの腐敗を批判して1517年にマルチン・ルターによって興された宗教改革です。宗教改革の発生によって、以後、ヨーロッパ世界は旧教と新教に二分され、厳しく対立することともなりました。


ちょうどその頃、画家として活躍していたピーテル・ブリューゲルPieter Bruegel, 1525-1530年頃生 - 156999日没)の作品に、『雪中の狩人』Jagers in de sneeuwという不気味な絵画があります。山の上から、多数の猟犬を引き連れた狩人たちが、子供たちが、無邪気にスケートなどで遊んでいるのどかで平和な村落に向かっているという構図の絵です。
 
ブリューゲル研究者のマンデルによれば、ブリューゲルの宗教的立場は、例えば再洗礼派のような新教派に近く微妙なものであったようです。ブリューゲルは、死の直前、妻に、「余りに直截的・風刺的な」素描を焼き捨てさせた」ことから、ブリューゲルの絵画には、寓意・風刺があると考えることができます。『雪中の狩人』も、恐らくは、カトリックへの寓意的批判として描かれていると推測することができます。では、どのような寓意なのでしょうか。
 
その寓意とは、狩人たちの獲物とは、無邪気に、平和な暮らしを楽しんでいる人々であるという寓意です。画中の狩人とは、イエズス会(恐らくは裏イエズス会)のことであり、アフリカ・アジア・新大陸を手中に収めるに留まらず、次の獲物として、ヨーロッパをもその手中に収めようと虎視眈々と、獲物に近づいてきている姿が、狩人として描かれていると推測することができるのです。狩人に黙々と従う無数の猟犬とは、「金太郎あめ」の人々であるかもしれません。
 
このように考えますと、中産階級の破壊活動を行う新グローバリストも、狩人の姿と重なってくるのではないでしょうか。

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(続く)