時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

奴隷貿易と‘ユダヤ人’との関連

 今日は、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。フランシスコ会や「裏イエズス会」の思想の問題や世界支配志向勢力との関連を考える前提条件として、避けて通れないのが、奴隷貿易と‘ユダヤ人’との歴史的関連の問題です。些か、タブーに触れていることになるのかもしれませんし、また、‘ユダヤ人’に対する差別的内容としてお叱りを受けるかもしれませんが、現在、世界が抱えている脅威、すなわち、世界支配志向勢力の脅威への対応策や解決策を考えるにあたり、この問題はキーポイントとなりますので、この問題について扱います。
 
『インド・ユダヤ人の光と闇』(徳永恂氏・小岸昭氏)によりますと、インドのユダヤ人社会は二分しており、ひとつが「白いユダヤ人」で、もうひとつが「黒いユダヤ人」であるそうです。この「黒いユダヤ人」の発祥の理由には、‘ユダヤ人’社会の微妙な問題が絡んでいるようです。それは、「黒いユダヤ人」が、以下の経緯によって生じていることです。
 
そもそも「ヘブライ12(13)支族」とは、モーゼの出エジプトの際にエジプトにおいて結成された人々のことであることから、「アブラハムの子孫のヘブライ人」とは同義ではありません。この「ヘブライ12(13)支族」の内の一支族であるハーフ・マナセ族は、「ハーフ」という用語によって示唆されますように、「アブラハムの子孫のヘブライ人」と他の民族との混血民族であり、おそらくは中近東のアラブ系かアフリカ系の人々との混血であったらしく肌の色は褐色であったようです。
 
さらに、紀元前一世紀、ヘロデ王朝の時代に、イドメア人というアラブ系の人々が、「ヘブライ12(13)支族」に加わり、この人々も褐色の肌を持つ人々でした。「アブラハムの子孫のヘブライ人」に、もう一つ、褐色の肌を持つ民族が加わったことになります。
 
紀元70年にディアスポラが起こりますと、こうした「ユダヤ人」たちは、世界各地に分散することになるわけですが、離散ユダヤ人たちが携わった貿易活動の特徴として、奴隷貿易を指摘することができます。
 
こうした奴隷貿易商人たちは、アフリカ系やアラブ系の女性奴隷との間に多くの子供を持つようになったそうです。女性奴隷との間に生まれた子供や、解放奴隷はユダヤ教徒となったのですが、肌の色の問題からインドでは、「黒いユダヤ人」と呼ばれるようになり、「白いユダヤ人」との間には、婚姻の禁止やシナゴークを異にするなどの一線が引かれていました。
 
「黒いユダヤ人」は、差別的扱いを受けていたものの、やがて勢力を大きく拡大したようなのです。その理由として、1)「黒いユダヤ人」は、肌の色を同じくするマナセ族やイドメア系の‘ユダヤ人’と連携しえたこと、2)インドのマハラジャからの保護を受けたこと、3)イスラム教が「黒いユダヤ人」を差別しなかったこと、そして、4)ポルトガルが改宗してマラーノとなっていた「白いユダヤ人」を異端審問によって迫害したことなどを指摘することができるようです。
 
本ブログにおいて、ユダヤ人は2種類に分けることができ、「先祖伝来のユダヤ人」と「偽ユダヤ人」という用語を用いておりますが、マナセ族やイドメア系以外の「先祖伝来のユダヤ人」が「白いユダヤ人」、「偽ユダヤ人」が「黒いユダヤ人」であるということにもなります。そして、「偽ユダヤ人」こそが、世界支配志向勢力の中心勢力であることは、「黒いユダヤ人」問題が、大航海時代以降の人類史に大きな影響を与えていることを示唆していると言えるでしょう。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
 
(続く)