時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

ユダヤ人と金融-旧約聖書の解釈

今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。ロスチャイルド家やサスーン家が金融業者であることに示されますように、イルミナティーと金融との関連は、よく知られております。

そこで、本日は、イルミナティーと金融の関係の起源について考えてみることにしましょう。キリスト教の経典であるとともに、ユダヤ教の経典でもある「旧約聖書The Old Testament」の「出エジプト記The Book of the Exodus」には、モーゼに率いられてエジプトを出発したヘブライ人は、エルサレムに入ることができず、およそ40年間、山岳地帯の荒れ地に留まっていたとされております。このような状況では、通常は、餓死してしまうということになるのですが、ヘブライ人たちは、そうはなりませんでした。では、この間、ヘブライ人は、どのようにして生計を立てていたのかと言いますと、「マンナmanna」と称される物体が、天から神によって授けられ、マンナによって日々の生活を維持できたとされております。聖書研究において、マンナが何であるのかをめぐっては諸説があり、謎の物体であると言うことができます。
 
そこで、マンナにつきましては、「私鋳貨幣private minting money」であるという説を提起できるのではないでしょうか。その理由は以下に依ります。
 
1)ヘブライ人は、エジプトにおいて石切り場で働いており、鉱山開発の技術があったと考えられる。従って、中近東地域の山岳地帯において、金、銀、銅などの鉱物資源を掘削することができたはずである。
2)「マンナmanna」は、「マネーmoney」の語源であると考えられる。
3)「マンナmanna」の発音は、ヘブライ人が、貨幣の神様として崇拝してきた「マンモンManmon」にも通じる。
4)ユダヤ人の姓には、金細工師を意味する「ゴールドスミスGoldsmiss」が多いことにも示さるように、ヘブライ人は、金や銀の鋳造技術も有していたと考えられる。
 
これらの4点を考えあわせますと、ヘブライ人は、鉱山を見付けて金や銀を採掘し、いわば、「私鋳貨幣private minting money」をつくり、その貨幣を以って近隣の都市や村の生産物を購入していたのではないか、と推測することができるのです。世界史上、はじめて国家によって貨幣がつくったのは、紀元前660年、リディアのギゲス王ですが、それ以前に、ヘブライ人は、独自の貨幣をつくり流通させていた可能性があると言えるでしょう。
 
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(続く)