時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

反イルミナティー文学はイルミナティーの手法や勢力範囲を暴いている

 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。昨日は、イルミナティーが、親イルミナティー文学(文学界や演劇界(映画・TVドラマ)も含む)を通して、‘社会的、経済的に成功した人物は皆悪人である’というイメージを人々に知らず知らずに刷り込んで洗脳している問題を扱いました。こうした洗脳には効果があり、フランス革命共産主義革命における‘階級闘争’の扇動と大量虐殺は、洗脳による残忍性と憎悪の増長が、如何に恐ろしい結果をもたらすかを示しているでしょう。
 
その逆に、反イルミナティー文学の作品には、イルミナティーの手法や勢力範囲を暴いている、暴露しているという特徴があります。このことは、ディケンズの『二都物語A Tale of Two Cities』が史実の一端を物語仕立てにしているだけではなく、イルミナティーの手法や勢力範囲を読者にそれとなく伝えていることにおいて認めることができます。そして、「切り裂きジャック」事件と「アメリカン・リッパ-」事件と『二都物語A Tale of Two Cities』との以下の接点は、ディケンズの主張が正しかったことを示唆しているのではないでしょうか。
 
1)フランス革命期に暴力革命への扇動を行ったと考えられるイルミナティーの下部組織の「カルマニョールCarmagnole(カルマニョールは、奇抜な服装で踊りながら練り歩き、善良な市民を残忍な方法で次々に殺害してゆく秘密組織)」について、ディケンズ1812- 1870年)は『二都物語A Tale of Two Cities』で扱っているが、「カルマニョール」の構成員たちは、サン・タントアーヌというパリの最貧地区の居住者達であった(ジャーナリストであったディケンズは、綿密な調査の結果として『二都物語A Tale of Two Cities』を執筆したと述べているので、史実と考えられる)。一方、ロンドン版サン・タントアーヌは、ホワイト・チャペル地区であり、「切り裂きジャック」事件は、ホワイト・チャペル地区で発生している。
 
2)「切り裂きジャック」事件の犯人は、「Jack」と名乗っているが、「Jack」は、「カルマニョール」の男子全員のコードネームである。すなわち、「切り裂きジャック」事件は、「カルマニョール」による犯行であることが仄めかされている。
 
3)「切り裂きジャック」事件と「アメリカン・リッパ-」事件の両事件の犯人である「ホームズHolmes」もコードネームであり、少なからず3人の「ホームズ」がいた。
 
4)『二都物語A Tale of Two Cities』の主要人物であり、恐らく‘ユダヤ系’の医師と設定されている「マネットManette」は、強要されたにせよ、不審死(殺人)事件の‘もみ消し’を行う医師である。一方、「ホームズ1」の実の苗字は「マジェットMaget」である。マネット医師の‘もみ消し’は、連続猟奇的殺人をめぐるマジェットの証拠隠滅と通じる(「マネット」も「マジェット」もフランス系の苗字であり、マジェット家は、フランスから英国に移民していた可能性を示唆。『二都物語』でも、マネット医師は英国に移民している)。
 
フランス革命の恐怖政治、「切り裂きジャック」事件、「アメリカン・リッパ-」事件のいずれの事件も、人と人との信頼関係、信用社会を崩壊させ、人々に対する暴力による‘脅し’を意味する事件でもありました(ただし、「切り裂きジャック」事件において、なぜ、被害者が娼婦であるのかは不明。イルミナティーの儀式用の臓器の調達か)。ディケンズは、人々に圧政を敷いている王族・貴族層を「悪魔」として批判・非難すると同時に、暴徒と化して、罪無き善良な市民をも残忍に殺害してゆく下層の人々も「悪魔」として批判・非難しております。ここに、イルミナティーの得意とする‘挟み撃ち’計画へのディケンズの非難が込められていると推測することができます。そして、このことは、イルミナティーの謀略に乗せられて、‘階級史観’によって世界を眺めることは間違えであることを、如実に語っているのではないでしょうか。
 
 
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(続く)