時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「アリババ」は盗賊団を支援している?

本日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が、記事を書かせていただきます。昨日のNHKスペシャルにて放映されました『アメリカ VS 中国』は、米中関係の行くへの如何の問題みならず、本年4月より入国してくる1号資格外国人労働者がもたらす様々な問題点をも陰に陽に提起するものとなっておりました。政府間協定によって事実上限定されることになるアジア9ヶ国出身の外国人労働者(移民)達が、中国共産党政権によるアジア諸国の支配・管理体制、並びに中国経済圏(元経済圏?)の確立のための尖兵となる可能性を示唆する内容となっていたからです。
 
まず、注目されましたのが、中国版アマゾンと称され、Wikipediaによりますと、 2014年からロスチャイルドを財務アドバイザーに起用している「アリババ」が開発した海外送金システムの問題です。仮想通貨のブロックチェーンを応用したこのシステムを用いますと、銀行を通さずして、また、ドル決済を通さずして、海外送金ができるようです。番組は、中国に出稼ぎに来ている若いフィリピン女性が、「アリババ」のこのサービスを用いて、中国のコンビニからフィリピンの田舎に残している子息に僅か3秒で送金している様子を取材しておりました。
 
一見、便利に見えるこのシステムは、銀行やドル経済圏内における“お金の動き”というチェック機能を通さずして送金できるという点、そして、その送金のスピードにおきまして、犯罪者に利用され易いシステムであることは、言うまでもありません。昨今、逮捕された地念師グループの主犯格の容疑者がフィリピンに送金するのに、在日フィリピン女性を何度もフィリピンに渡航させていたという報道がありましたが、アリババのサービスを利用いたしますと、こうした送金は瞬時に行われてしまう、ということになるのです。
 
ikipedia(日本語版)によりますと、アリババの中国消費者向けオンライン支払いサービスである「Alipay(支付宝)」は、2003年にサービス開始し、2017年の会員数4.5億人以上であり、オンライン決済のほか、実店舗でのスマートフォン決済サービス、公共料金の支払いなどにも利用されており、2017年の春節には日本国内でも約2万店で利用可能となったそうです。
 
フィリピンは、1号資格外国人労働者(移民)の送り出し国となりえるアジア9ヶ国の一国であり、中国人労働者のみならず、アリババを利用しているフィリピン人労働者が、日本へ1号外国人労働者として入国してまいりますと、中国への出稼ぎ労働の際と同様に、アリババを利用して母国へ送金すると予測することができます(アリババが同システムを他の東南アジア諸国に展開すれば、日本国内での利用者はさらに増加…)。
 
このことは、外国人労働者(移民)の増加にともない、日本が、中国経済圏(元経済圏?)に飲み込まれることになる可能性を示唆するとともに、アリババを利用している犯罪者による海外送金の取締が困難となってくる可能性をも示唆しております。アリババの中枢は中国本土にありますので、中国共産党政権によって、捜査が妨害されることが予測されるからです。
 
 かくも、様々な問題がありながら、政府は本当に、本年4月から中国共産党政権との結びつきの強いアジア9ヶ国から、1号資格外国人労働者(移民)の入国を許可するつもりなのでしょうか。仮に、許可したといたしますと、国民の生命と財産を守るという政府としての役割を放棄している気がいたします。

 
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(続く)