時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

警察官タリバン暴言事件―無知は許されないのか

 ニュースによりますと、米子市で、病気のために黒頭巾をかぶっていた男子高校生に対して、警察官が”お前はタリバンか”と尋ねたことが暴言とされ、県警本部長が謝罪をするという事件があったそうです。この事件の顛末は、結局、警察側に一方的な非があるとされたようですが、もう少し深く考えてみるべきとも思うのです。

 テロへの警戒から、近年では、人の多く集まる場所では、不審な物や人を見かけたら、すぐに警察や係員に連絡するように呼びかけが行われています。黒頭巾をかぶって歩いている人がいたとしますと、誰もが、不審者と怪しんでもおかしくはありません。何故ならば、テロリストや犯罪者の多くは、自らの身元が分からないように覆面をして活動をするからであり、黒頭巾と犯罪との関連は、一般の人でも認識しております。ましてや、警察官ともなりますと、治安を維持し、テロや犯罪を取り締まる立場にあるのですから、黒頭巾の高校生に対する職務質問は、警察官としては、当然の行為であったとも言えましょう(しかも、自転車の二人乗りをしていた・・・)。

 ここで、実は黒頭巾をかぶっていた理由は、病気のためであったことが判明し、テロリストや犯罪者ではなくて一同が安心する、ということで終わりそうなのですが、そうならなかったことに、この事件の不思議さがあります。知らなかったのなら仕方がない、ではなく、議会で取り上げら、県警本部長に謝罪を求める騒ぎとなってしまったのです。たとえ、警察官が、「ポルフィリン症」という病気を知っていたとしても、黒頭巾を被っているいる人が、すべてこの病気の人であるとは限りません。もし、黒頭巾を被っている本物のテロリストや犯罪者を見かけたとしても、警察が、病気の人と見なして見逃してしまうということになりますと、今度は治安の方が心配になります。

 この事件を教訓とするならば、警察は、黒頭巾の人に職務質問する時には、「あなたは、ポリフィリン症なのですか」と最初に質問しなければならないのかもしれませんし、「ポリフィリン症」の方も、不審者に見られないよう、何らかの工夫をすべなのかもしれません。警察には、現在のところは、すべての病気に関する情報を学ぶ義務はないのですから、病気について知らない段階での行為について一方的に責めることは、酷なように思うのです。 

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