時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”チベット解放”という誤魔化し

 昨日、チベット侵略から50年を経たことから、中国政府は、”記念式典”を開催し、古い封建制度による搾取からチベットの人々を解放したとして自画自賛し、必死に侵略行為の自己正当化を行ったようです。しかしながら、中国の言い訳は、果たして通用するのでしょうか。

 かつて、ソ連邦が東欧諸国を衛星国化した時にも、ソ連の軍隊は、厚かましくも”解放軍”を自称していました。”解放”という名の軍事進攻は共産主義国の常套手段であり、その後、東欧諸国がソ連のくびきに縛られて苦しみ続けたことはよく知られています。チベットの人々が中国の主張するような、悲惨な隷従状態から解放されたと考えているならば、そもそも抵抗運動が起こるはずもありませんし、また、たとえ中国の主張が事実であったとしても(チベットは遊牧が主なのでは?)、それをもって、チベットを軍事占領し、併合の根拠とすることにも無理があります。また、中国支配による恩恵として、チベットのインフラの整備を強調したとも伝えられますが、青蔵鉄道の開通により、どれだけの資源が持ち出され、どれだけの漢族が移住してきたかわかりません。

 中国政府にかかると、侵略も解放となり、強奪も恩恵となり、悪行も善行にすり替えられてしまうようです。中国政府が、この言い訳で周囲を納得させることができると考えているとしますと、それは、あまりに見通しが甘いと言わざるを得ないと思うのです。

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