時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

裁判員の守秘義務―開かれた司法vs.裁判員の安全

 昨日、テレビの報道番組でニュースキャスターを務める方々が連名で、開かれた司法の実現を求めるアピールを公表したと伝えられています。この中で特に強調されたのは、裁判員守秘義務が、判決までのプロセスを隠す役割を果たしてしまう、ということのようです。

 原告・被告双方の権利が守られ、公平な裁判が行われるためには、裁判が公開され、判決に至るまでのプロセスが明らかにさている必要があります。この点に鑑みますと、裁判員守秘義務は、密室での決定となる可能性があり、上記のアピールで指摘された懸念には説得力があります。その一方で、裁判員と異なり、身分保障のない裁判員の方々は、もし、原告・被告のどちらかが不満をもつような判決が下された場合、身に危険を感じる可能性があります。つまり、開かれた司法と裁判員の安全が両立しないかもしれないのです。

 この問題を解決するためには、(1)裁判員に対する犯罪を厳罰化する、(2)匿名を条件に守秘義務を解除する、(3)既に暴力団などの組織犯罪については裁判員制度から除外するという措置が取られていますが暴力団以外の宗教法人などについても、過去において組織的な犯罪歴がある場合には、除外対象に含めるかを検討する(除外対象となった宗教法人は犯罪組織として認定されることになる・・・)といった方法が考えられます。開かれた司法を目指して制度を導入した結果、閉ざされた司法制度が出現するとしますと、これもまた、矛盾に満ちていると思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>