時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日米合意の一方的破棄は禍根を残す

 普天間基地の移設問題については、既に日米で合意済みであったことは誰もが知るところです。もし、民主党政権が、アメリカ側の合意を得ることなく、一方的に合意を白紙に戻すとの決断を下すとしますと、これは、日米関係の将来に修復しがたい禍根を残すことになるのではないかと思うのです。

 この光景は、見方によりましては、1933年3月、日本国政府から派遣された松岡洋右主席全権が、国際連盟総会を後にしたあの国際連盟脱退のシーンに似ていなくもありません。もちろん、違いもたくさんあるのですが、どこに共通点があるのかと申しますと、(1)自国(連立?)の事情を最優先したこと(2)後先構わずであったこと(3)英雄主義的で一方的な行為であったこと、などを挙げることができます。あの時と同じく、民主党政権もまた、喜々として日米合意白紙を宣言するのではないかと心配になるのです。

 あらゆる約束事がそうあるように、約束には守る義務があることは国際社会でも同様です。日本国政府は、その常識的なルールを破るのですから、日米関係に亀裂が生じることは、当然、覚悟しなければならないはずです(しかも、日米合意は、日本国内の世論が沸騰するほど理不尽でもないはず・・・)。国家間の合意の拘束性を考えますと、民主党政権は、沖縄県民の方々を説得することにこそ努力を払うべきであり、安易に国家間の合意を反故にしてはならないと思うのです。国際社会における信頼失墜による代償は、現在の、そうして将来の日本国民が払うことになるのですから。

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