時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

誰が円を買っているのか

 一般的には、一国の通貨は、その国の経済力を反映しており、特に、輸出が好調な時には、決済通貨としての需要が通貨高をもたらします(決済通貨が自国通貨建ての場合)。しかしながら、現在の円高は、この一般的な説明から大きく逸脱しています。円高の原因を正確に掴まなくては、対策を立てることもでないのですから、誰が、円を買っているのかを、まずは、突き止める必要があります。

 為替市場での円の購入者としては、(1)海外の投機家、(2)一般の金融機関、(3)外国政府(中国?)・・・などが想定されます。もし、(1)であるとしますと、近い将来、円は下落することが予測されます。何故ならば、投機家とは、為替変動によって差益を得ているのですから、円高で張って、下落局面で売り抜けることを狙っているからです(証券市場での投機規制強化により、投機の場が為替市場に移行?)。(2)の場合には、過去に円を大量に調達した結果、その返済に際して円を必要としているのかもしれません。あるいは、株安やドル・ユーロ安を嫌って、円に資金を当面逃避させている可能性もあります。この場合も、返済の終了、あるいは、欧米市場の景気が回復すれば、円は下落に転じます。そうして、(3)であるならば、自国通貨安による輸出競争力を維持するため、あるいは、日本国債を含めた円建て債券を購入するために、円を積極的に買っていることになります。最も手ごわいのが、(3)の場合です。(3)の場合には、円高が長期化する恐れがあるからです。

 さて、円高の原因とは、一体、どこにあるのでしょうか(上記以外にも原因があるかもしれない・・・)。政府は、円高の原因を究明し、その原因に合わせた対策を早急に講じるべきなのではないでしょうか。

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