時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

エジプトと共通する無党派層のリーダー不在

 エジプト動乱とも表現されている国民の独裁体制に対する抵抗運動は、終に、ムバラク大統領辞任というフィナーレを迎えました。息をのむような展開であったわけですが、この騒乱から、我が国も抱えている共通の問題を垣間見ることができます。

 それは、ごく普通の国民意見や利益を代表する組織がない、ということです。エジプトでも、与党DNPは、議会では議席をほぼ独占し、大統領を選出しながらも、国民多数が支持する政党ではありませんでした。それゆえに、国民の多くは、デモに立ちあがったのです。ムスリム同胞団もまた、組織化はされてはいるものの、やはり、大多数の国民の心を掴んではいませんでした。エジプトにも多数の”無党派層”が存在していたのです。こうした”無党派層”は組織化されておらず、特定のリーダーも存在していないため、いざ、民主化のための国政改革という段になっても、その意見や利益を政治の舞台に反映させることがなかなか難しい状況にあるのです。

 翻って、我が国の状況を見てみますと、政治家は、特定の団体と結びついた極端な思想の持ち主が多く、一般の国民の多数を占める無党派層の意向は無視されがちです。組織化されていない故に、サイレント・マジョリティーは、多数派でありながら、影響力に乏しいのです。我が国また、真の民主主義を実現するためにも、普通の国民の意見や選好が政治に届くよう、制度的な工夫する必要があるのではないかと思うのです。

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