脱原発―橋下知事は臆病か

　大阪府の橋下知事は、”エアコン切って脱原発”とのスローガンを掲げているようです。脱原発の闘志にも見えなくもないのですが、本当は、臆病なのではないかと思うのです。

　このような言い方は、いささか過激であるとは思うのですが、原子力との闘い方には、止めるのではなく、原子力と対峙して安全化するという方法もあります。逃げるのではなく、正面から対決するのです。それには、核物質に関する物理的な知識を獲得し、技術として確立する必要がありますが、現段階でも、原子炉の技術は、事故を起こした福島第一原発の原子炉よりも、はるかに向上しています。逃げるばかりが道ではありません。原発を再稼働させることも、勇気のいる決断なのです。また、深刻な電力不足を、国民の節電だけで乗り切ろうとする姿勢にも、精神主義のみに依存する危うさを感じます。精神主義には、アピール力がありますが、政治家であるならば、如何に低コスト、かつ、大量の電力供給量を実現するかを考えるべきです。

　エアコンを切れば、高齢者を中心に熱中症が増加し、脱原発路線は、人の命にかかわります。原発事故の発生は、地震の発生、被害の性質と規模、管理者の判断、原子炉の設計・・・などが関わる確率の問題ですが（100％事故が起きるとは限らない）、電力不足は、現実に、人の命も、職をも奪うのです。現実の問題を直視し、具体的な政策を立案してこそ、政治家の責任を果たすということなのではないでしょうか。

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