時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

国民感情は相手国に対する評価

 本日の新聞記事に、1985年のイラン・イラク戦争に際して、トルコ政府が、テヘランに取り残された日本人救出のための派遣した飛行機の機長であった、オルハン・スヨルジュ氏が死去されたという記事が掲載されておりました。命がけで危険な任務を遂行してくださったヨルジュ氏に対して、心より哀悼の意を捧げたいと思います。

 トルコ政府が、日本人救出を決断してくださった背景には、明治23(1890)年に、和歌山県串本沖で遭難した「エルトゥールル号」の乗組員を地元の住民が助けたという出来事があったそうです。100年以上も前の出来事であったにも拘わらず、その時の感謝の気持ちを、トルコ政府は、1世紀を経て飛行機の派遣による日本人救出、という形で現してくださったことになります。日土両国の友好の礎には、助け合う心と感謝との連鎖があったのです。国民感情とは、しばしば、理性から逸脱したヒステリックな反応と見なされがちですが、本当のところは、国であれ、人であれ、その行いに対する人々の評価を、案外、正しく映し出しているのかもしれません。昨今、日本人の対韓感情の著しい悪化が見られますが、それというのも、韓国が、戦後、反日活動や侮日行為を執拗に繰り広げてきたからです。日本人から見ますと、日韓関係は、相互信頼などあり得ない程に、韓国側の裏切り、暴力、脅し、騙し、恨み、敵意、嫉み…に彩られた歴史です。日土関係とは逆に、相互の不信と憎悪が連鎖しているのです。集団的自衛権を韓国に適用することに躊躇する国民感情は、まさに、こうした過去の韓国の行為に対する偽らざる警戒心と拒絶感の現れなのではないでしょうか。

 日本国にとっての韓国の地政学的な戦略上の価値については、別に論じる必要がありますが、有事に際しても、政府の政策に対する国民の支持は、決して軽視できるものではありません。日本国が、集団的自衛権を韓国に対して発動することは見送るとすれば、それこそ、過去の日韓関係の歴史を直視した結果なのではないかと思うのです。

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