時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

韓国徴用工訴訟が開けた蓋

 報じられるところによりますと、韓国では、戦時中の徴用の賠償を求める1000人規模の訴訟が起こされるそうです。個人の賠償請求権は失われていないとして・・・。

 1965年の日韓請求権協定では、日韓両国の政府が、自国国民の個人の請求権問題をも解決するものとして締結されました。ですから、韓国の徴用工訴訟は法的な根拠はありません。日韓請求権協定では、日本国政府から韓国に対して経済支援金が支払われ、その支援金から、韓国政府が、損害を受けたとされる自国民に対して補償を行う仕組みとなっておりました。一方、朝鮮半島に財産や権利を保有していた日本国民は、一切の補償なくしてこれらの全てを失ったのです。本来であれば、日本国民の損失については、韓国政府が行うべき責務がありました。ここにきて、韓国側が、個人の請求権は失われていないとする立場を採るならば、当然に、日本国民の韓国に対する個人請求権も認められるべきことになります。徴用の期間は数年ですが、併合時代は30年もあったのですから、企業を含めて、そこで築かれた日本人の資産は相当な額に上るはずです。

 戦時徴用工に対しては、政府から法律に基づいて給与も支払われており、そもそも、賠償の対象にさえならない問題です。自らが開けた個人の請求権問題の蓋は、日本人に莫大な請求権をもたらすことに、韓国は、気が付いているのでしょうか。

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