時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

小野市の生活保護浪費禁止条例-監視批判は違反者の視点

 兵庫県小野市の市議会では、全国的な議論を呼んだ生活保護浪費禁止条例案が、遂に賛成多数で可決されたそうです。これを機に、同様の条例の制定が、全国レベルで広がることを期待したいと思います。

 本条例に対する主たる批判は、市民に通報義務が課されるため、”監視社会になる”というものでした。恐怖政治に見られた忌まわしき”監視社会”は、政府を批判する”危険分子”を摘発し、隔離することを目的としていました。一方、小野市の条例が、市民に求めていることは、条例違反者の通報です。刑法上の犯罪に関しては、事件に遭遇したり、犯罪行為を発見した国民が警察に通報することは、当然のことです。生活保護でパチンコなどのギャンブルを行うことも、社会倫理に反する行為ですので、この文脈で理解することができます。つまり、旧社会・共産主義国の”監視社会”とは、全く意味合いが違うのであり、監視社会批判は、違反者の視点からの言い分に過ぎないのです。生活保護を受給していても、条例を遵守してパチンコにさえ行かなければ、市民からの通報を怖れてびくびくすることもないのですから。

 監視社会を持ち出して、本条例に反対している人々の多くが、国民を抑圧した正真正銘の”監視社会”の擁護者であることは、何とも、皮肉なことと思うのです。

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