時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

沖縄の帰属未定主張で自らの法的根拠を揺るがす中国

 第二次世界大戦中、連合国の間では、戦後処理を想定し、沖縄の帰属問題が議題となっていたようです。本日の産経新聞の紙面にも、43年11月に開かれた米英華の首脳によるカイロ会談において、中華民国蒋介石が、沖縄の「米中の共同管理」を提案したと報じられておりました。

 しかしながら、同会議での会談結果として公表されたカイロ宣言には、”沖縄(琉球)”の文字は含まれておらず、しかも、同宣言では、連合国側の不拡大方針が確認されています。結局、最終的に日本国の領域が決定された1952年のサンフランシスコ講和条約では、アメリカの信託統治となりながらも、沖縄は、日本国の領土放棄の対象とはならなりませんでした。講和条約とほぼ同時期に締結された日華平和条約でも、領土権の放棄については、講和条約の内容を踏襲しています。もっとも、72年の沖縄返還に際して、蒋介石は、沖縄の帰属は未定、とする抗議声明を発表したそうですが…。国際法上の沖縄の帰属は、講和条約で既に決定されているのですから、中国には、帰属未定を主張する法的な根拠はないのです。

 1949年に中華人民共和国の建国を宣言した毛沢東は、沖縄、並びに、北方領土の日本国への返還を支持していたそうですが、現在の中国は、建国時代の指導者たちよりも、国際秩序や国際法に対する感覚が鈍く、遵法精神も欠如しております。帰属未定と言うならば、チベット東トルキスタン満州などの方が、よほど、国際法上において中国の領土とは言い難いのではないかと思うのです。

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