時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

「はだしのゲン」の逆効果-平和教育が破壊する人間性

 平和教育とは、戦争の悲惨さを伝え、二度と戦争の悲劇を繰り返さないことを目的として、学校教育の一環として実施されております。ところが、「はだしのゲン」をめぐる議論が深まるにつれ、平和教育が、逆に人間性を破壊しているのではないか、という疑問が湧いてきたのです。

 「はだしのゲン」については、先日のブログ記事では、虚実混合のリスクがあることを指摘しました。その際、コメント欄において、”「女子高校生コンクリート殺人事件」の犯人の少年グループのメンバーは、「はだしのゲン」の影響で当事件を起こした可能性がある”とする指摘をいただきました(両親が共産党員らしい…)。考えてもみますと、小学生という年齢で、平和教育が口実とはいえ、虚実の入り混じった残虐シーンを見せられたのでは、人間性に関する健全な感覚が壊されてしまう可能性があります。人間とは、極限状態となれば、かくも残酷であり、無慈悲であり、利己的であるとする認識が植えつけられてしまい、払い難い人間不信、延いては、残虐性に対する感覚的な麻痺が起きてもおかしくはないのです。どの道、人間は醜い存在であり、殺人や暴力など慣れたものだ、という…。この結果、平和教育を施せば施すほど、むしろ、残忍で暴力的な人間が増えてしまうのです。少なくとも、人格形成の途上にあり、健全な倫理観を身に付けなければならない10代の中頃までは、人間性を根底から破壊する可能性がある作品は、読まない方が望ましいと思われるのです。

 松江市教育委員会では、「はだしのゲン」の閲覧を自由化する措置をとるそうですが、この判断は、果たして正しいと言えるのでしょうか。大人が、平和教育の名の下で、見なくてもよい残虐描写を子供たちに見せることは、影響を受けやすい子供の心を護る大人の責任放棄ともなりかねません。国民は、平和教育の偽善に対して、警戒すべきではないかと思うのです。

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