時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

LINEの問題点が凝縮されている大阪府議LINE騒動

 大阪府府議がLINEをめぐり、女子中学生を脅した一件は、当府議から芸能人がBPOに訴えられるという騒動に発展しました。大人げない騒動なのですが、この事件、LINEの問題点が凝縮されている思うのです。
 
 LINE騒動から明らかになる点は、第一に、女子中学生と大人が、いとも簡単にLINE仲間として繋がってしまうことです。一昔前の中学生であるならば、府議とはいえ、見知らぬ大人と日常的に会話や連絡を取るなど、あり得ないことです。LINEの使用は、知り合いの範囲を広げる一方で、事件等に巻き込まれる危険も高まることは言うまでもないことです。第二に、府議が恫喝に及んだ理由は、LINE仲間から外されたことによります。大の大人でも、LINE仲間から一方的に外されることは、精神的な打撃となり、怒りの感情の原因となることを示しています。況してや、閉ざされた空間でもある学校にあっては、LINE外しという仲間外れに対する恐怖心は、子供達に、想像以上に精神的な苦しみや圧迫を与えている可能性があります。いわば、子供達は、他者を苛める強力な手段を持つと共に、自分自身もまた、その恐怖に怯える立場に置かれているのです。第三に、訴えられた芸能人は、府議に対して”きもい”と発言したそうですが(”きもい”と認定された人は外されて当然と考えているらしい…)、子供達も同様に、”きもい”といった主観的な理由から、簡単にLINE虐めを実行している可能性もあります。LINE仲間の一人が”きもい”と言い出した途端に、他の参加者も同調して仲間外れにするのでは(同調しないと自分が仲間外れにされる恐怖…)、お互いに人格を磨いたり、多様な人格を認め合う機会が失われるかもしれません。また、他者を庇うというやさしい心も育たなくなります。
 
 この事件、政治家や芸能人が関わったことで社会的な注目を集めましたが、この事件から学ぶべきことは、LINEには、あまりに多くの問題が潜んでいるということです。韓国情報院への個人情報の筒抜け疑惑のみならず、LINEには、便利な反面、人間関係を壊してしまう破壊力もあるのですから。