時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

テレビの低俗化-音楽の影響を考慮しては

 NHK紅白歌合戦に関する報道に接しますと、暗澹たる気持ちになるのですが、国民の多くは、音楽が人々の精神に与える影響について、関心が薄すぎるのではないかと思うのです。
 
 音楽と精神性とは、その誕生の時から密接な関連性があり、古代ギリシャのポリスにあっても、コーラスは神々への賛歌でしたし、クラッシック音楽の始まりも、教会で歌われたグレゴリウス聖歌にあるとされています。もちろん、世俗の娯楽としての音楽もあるのですが、音楽が人々の魂を揺さぶることを古人もよく知っておりました。現代でも、アドルフ・ヒトラーワーグナーの曲をゲルマン魂を呼び覚ますために利用しており、音楽と精神性との関連は、過去のことではありません。近年でも、ルワンダなどで発生した虐殺は、ラジオによるラップ・ミュージックの放送にあったと指摘されております。、ラップ・ミュージックを聞くと一種の放心状態に陥り、集団的な暴力行為に走ってしまうというのです。
 
 美しいものを見るとそれだけで脳内の血流の流れが増加するとの実験結果が報じられおりましたが、聴覚にかかわる音楽もまた、人々の心に影響を与えているはずです。テレビ界が主導する低俗化路線では、国民の心のあり方にも悪影響が及ぶのではないかと懸念するのです。
 
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