時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

STAP細胞-ES細胞混入説でも解けない謎

 本日、理研の調査委員会が発表する報告書によると、STAP細胞の実験結果は、ES細胞が混入したことで説明が付くとのことです。つまり、ミスとは考えられず、何者かが、故意に仕組んだこととなります。
 
 ところで、STAP細胞については、最初の発表に際して、ES細胞説では説明できない現象を報告されております。それは、従来の万能細胞とは違い、胎盤を造る能力があるという特徴です。ES細胞ではあり得ないため、ES細胞説が登場した際には、理研の研究員の方が否定的な見解を示しておりました。”STAP細胞”に、胎児のみならず、胎盤の形成能力があることを示す実験結果を得ていたとしますと、ES細胞の混入のみならず、胎盤へと分化可能なTS細胞の混入もあったはずです。混入したES細胞については、今回の調査報告書で由来が示されておりますが、混入が疑われるTS細胞は、一体、どこからもたらされたのでしょうか(TS細胞の混入がないとしますと、実験の存在そのものが疑われるか、あるいは、謎がさらに深まる…)。
 
 誰が混入したのかも含めて、この事件、TS細胞の混入ルートを洗うことで、真相に近づくことができるかもしれません。日本の科学技術の信頼性を著しく損なった事件ですので、再発の防止を含めて、今後とも、全容の解明に全力を尽くしていただきたいと思うのです。
 
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