時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

中国人奴隷をも解放した明治政府

 慰安婦問題について調べておりますと、しばしば、思わぬ事実に出会って驚くことがあります。本日は、明治5年に明治政府が中国人奴隷を解放したエピソードについて書き留めておきたいと思います。
 
 1925年(大正15年)に、日本国は、「婦人及児童ノ売買禁止二関スル国際条約」を批准しております。この時の政府内の議論を記した資料に、明治5年に太政官布告が発せられ、娼妓制度における人身売買が禁じられた経緯が記録されております。この資料によりますと、中国人奴隷を乗せた外国船が横浜港に寄港した際、日本国の官憲が上陸を拒んだところ、当外国人は、日本国の娼妓制度を指摘し、日本国にも”女郎売買”がある、として抗弁したそうです。この抗弁に対して、江藤司法卿は、”女郎売買”は過去のものと一先ずは説明したのですが、その実、国内に娼妓制度が存在していたため、即日、明治天皇の裁可を仰いで、違法となる娼妓たちを解放すると共に(この時から年齢等の規制と事業者に対する取締が開始…)、中国人の奴隷達をも解放したと言います。
 
 戦前の日本国は、非人道的な国家であったとするイメージが流布されており、中国、韓国、北朝鮮などの諸国では、”絶対悪”とさえ見なしております。しかしながら、このような逸話に触れますと、率先して人道的な国家たらんとした当時の日本国の意気込みに心打たれるのです。
 
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