時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

”慰安婦問題”-辻褄が合わない韓国の主張

 昨日の日韓首脳会談において、”慰安婦問題”妥結に向けた交渉を加速することで両首脳が合意したと報じられておりますが、この問題については、あらゆる角度から見まして、韓国側の主張は、辻褄の合わないことばかりです。

 慰安婦問題に対する日韓の立場を史実に基づいて整理しますと、以下のようになります。(1)事実1:「慰安婦は、雇用契約に基づくプロの職業婦人であった。」この事実に基づきますと、仮に、”慰安婦問題”があったとしますと、それは、戦争末期における混乱による賃金未払い等が主であり、日韓請求権協定で解決済みとなります。一方、韓国は、「慰安婦は日本軍に強制連行された」と見なしているため、協定の枠外での補償を求めています。。(2)事実2:「日本軍は慰安所の管理を実施していた」日本軍は、民間事業者が経営する慰安所に対して規則を定めたり、衛生管理を行うなど、監督に当たりました。この点は、日本人慰安婦朝鮮人慰安婦も同様であり、日本軍の関与は、悪徳業者の取締のためでもありました。一方、韓国は、朝鮮人女性のみが20万人も劣悪な状況で”性奴隷”として働かされたと主張しています。(3)事実3:「朝鮮半島では、人身売買が横行していた」李朝時代から朝鮮半島では、この種の犯罪が多発しており、朝鮮総督府も人身売買を完全には取り締まることは出来ず、少数ながらも被害者が存在していたと推測されます。日本国政府は、犯罪被害者に対しては、犯罪の事実の立証を求めることなく、「アジア女性基金」で見舞金等を支給しています。一方、韓国は、法的責任を追及する立場から、元韓国人慰安婦に対して受け取りを拒否するよう圧力をかけました。(4)事実4:「日本国は国際法に違反していない」日本国は、1921年に「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」に加盟していますが、既に、国内法として人身売買は禁止し、取り締まりを実施していました。また、当条約では、留保条件として、朝鮮半島は適用除外としています。一方、韓国は、上述したように日本国政府に対して法的責任を認めるように求めながら、そのための手段であるはずの国際司法に訴えようとはしていません。

 以上に、主要な史実に対する日本国の立場と韓国の主張を並べて整理してみましたが、韓国側の言い分は、何れも史実を否定しない限り成り立ちません。”慰安婦問題の妥結”については、財政支援の拡大も指摘されておりますが、史実からかけ離れた対応は、先日の記事でも指摘しましたように、後世に禍根を残すことになると思うのです。

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