時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

琉仏条約の発見は日本国統合を否定しない

 本日、ネット上において、1855年にフランスと琉球王国との間で結ばれた琉仏条約の原本が見つかったとして、沖縄の独立論に加勢する記事を目にしました。しかしながら、この条約の存在は、1854年の琉米条約と共に既に知られており、目新しい発見ではありません。

 鬼の首をとったかのような書き方なのですが、琉球王国が、19世紀中葉にあって条約締結権を有する独立国家として国際的に見なされていたとしても、そのこと自体は、日本国の統合を否定するものではありません(一方、清国の領域ではないことは、明白に証明している…)。ドイツもイタリアも、統一国家建設以前にあっては、条約締結権を有する中小の国家によって構成されており、1648年のウェストファリア条約は、神聖ローマ帝国(ドイツ)内の領邦国家に対して外交権を承認する条約でもありました。バイエルン王国が過去に締結した条約の存在を根拠に、バイエルン州の分離・独立を訴えることがナンセンスなのように、この条約を以って沖縄の日本国からの分離・独立を主張することは不可能なことです。

 沖縄は、言語のみならず、DNAの分析からしましても系統的に日本人に属するのですから、日本国の内にあることが、最も自然なのではないでしょうか。

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