時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本のハロウィンへの素朴な疑問

 12月25日のクリスマスや2月14日のヴァレンタインデーなど、日本国でも、海外の年中行事が祝われています。近年、10月31日にも、ケルト文化に起源を遡るハロウィンの行事が催されるようになりました。

 ハロウィンは、もとはと言えば自然崇拝に由来しており、仮装行列は、一年の始まりを前にした悪霊退散の再現なのでしょう。このため、人々は、魔女やお化けといった悪霊たちに扮して悪さをするのですが、その一つが、”trick or treat”と唱えてお菓子をもらうイベントとなったと想像されます。しかしながら、よく考えてみますと、この言葉、日本語に訳しますと、”お菓子をくれなければ、いたずらするぞ”ですので、脅迫を意味します。日本人の多くは、ハロウィンの起源や悪霊退散に関する知識を持ち合わせていませんので、子供達が、表面だけを真似ますと、脅迫に対する罪悪感が低下し、モラルを狂わす恐れもあります。オリジナルでは、悪霊は新年の訪れとともに退散しますが、本来のストーリーと切り離された日本のハロウィンでは、子供達の心の中に悪霊が居残ってしまうかもしれないのです。

 ハロウィンに際しては、子供達に対して、”trick or treat”は、悪霊がする悪しき行いであって、やがて退散する運命にあることを教えるべきです。近年、子供達にお菓子を配るお店や場所が予め指定されているのも、一般の家庭を訪問すれば、犯罪となってしまうからなのでしょう。子供達が(大人も?)、悪霊に化けて嬉々として悪さをするのでは困りますので、ハロウィンは、せめて由来を説明することで、道徳教育の機会とすべきなのではないかと思うのです。

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