時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

COP21-人間は地球をコントロールできるのか?

 昨日、地球温暖化対策としてパリで開かれていたCOP21は、漸く合意に達したと報じられております。しかしながら、その合意案を見ますと、首を捻らざるを得ないのです。

 報じられるところによりますと、全ての諸国に削減義務が課せられても、達成義務もなく、また、不履行に対する罰則もないそうですので、生真面目で良心的な国ほどマイナス影響を受けてしまうという問題点があります。そして、それ以上に驚かされるのは、気温上昇率を2度未満に抑えるという数値目標を設定していることです。気温の変動要因は、温暖化ガスの排出に限定されるわけではなく、地球は、寒冷期と温暖期を繰り返しており、また、太陽の活動周期によっても変化します。こうした自然要因についてはどのように扱うのかは不明ですが、本気で人類が気温を完全にコントロールできると考えているのでしょうか。二酸化炭素が温暖化に与えるメカニズムや連鎖的な影響でさえ、完全に解明されているわけではないにも拘わらず・・・。

 COP21につきましては、日本国内での関心は今一つのようですが、その背景には、どこか地に足が付かないような議論が進んでいたからかもしれません。温暖化の行方にも増して、この合意の行方が心配となるのです。

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