時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

慰安婦問題-国連女子差別撤廃委員会のダブルスタンダード

 先日、国連の女子差別撤廃委員会において、日本国政府は、慰安婦問題に関する答弁を行いました。この問題を扱うことに対して、日本国政府は、同委員会には発足以前に起きた問題を管轄する権限はないとして抗議したものの、被害者が存在していることを理由に却下されたそうです。

 この問題について考えさせられるのは、仮に、同委員会が被害者の生存のみを基準に問題を選別しているのであるならば、その対象範囲は、際限なく広がる可能性があることです。毎週日曜日の夜9時に、NHKBSプレミアムで「刑事フォイル」という推理ドラマが放送されておりますが、先週、この番組で興味深い場面が描かれておりました。ストーリーは、軍事物資の横流し事件を軸に展開し、事件の舞台は、軍の委託を受けた民間造船所です。横流しで巨額の利益を得ていた悪人は、この造船所の事業者兄弟なのですが、この悪徳事業者は、女子の賃金を男子の半額にするという不正も働いていました。もちろん、ドラマですのでこの状況は全くのフィクションなのですが、戦時にあっては、女子差別を含む事業者による不正が横行していたことは想像に難くありません。戦時中の慰安婦問題もまた、慰安婦所自身は合法的なサービス事業でしたので、民間事業者による搾取や虐待があったとしますと、このケースに類似しています。

 戦後70年が経過しましたが、今日でも、こうした”女子差別”の被害者は存命なことでしょう。女子差別撤廃委員会は、こうしたケースをも糾弾するのでしょうか。仮に、日本国だけを標的にしているとしますと、何らかの政治的な圧力が加わっているのではないかと推測するのです。
 
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