時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

NHK『刑事フォイル』から読み解く第二次世界大戦の真実

 毎週日曜日の9時にNHKBSプレミアムで放映されていた『刑事フォイル』が、昨日、終了しました。楽しみにしていただけに残念なのですが、このドラマから、日本国内では知られていない第二次世界大戦の真相を垣間見ることができます。

 『刑事フォイル』は、第二次世界大戦時におけるイギリスを舞台にストーリーが展開しており、枢軸国であった日本国の視点からしますと、まさに、”目からうろこ”の場面も少なくありませんでした。最終回となった先週のストーリーは、従軍中に同僚兵に殺害されそうになった若者による復讐を動機とした殺人事件なのですが、イギリス政府によって密かに行われていた生物化学兵器研究施設からの炭疽菌漏洩の不祥事も絡められています(管理不備により実験用羊の死体から人間が炭疽菌に感染…)。もちろんドラマですので、史実である保証はないのですが、違和感なくイギリスの視聴者に受け入れられたところからしますと、連合国側において、当時、実際にこうした研究が行われていたのかもしれません。そして、生物化学兵器について思い起こすのは、かの731部隊です。中国や左翼勢力などは、731部隊の名を挙げては日本軍の生物化学兵器の実験を非人道的な行為として断罪してきました。しかしながら、アメリカで公開された731部隊に関する公文書でも、日本軍による人体実験や細菌戦は否定されており、生物化学兵器対策としての研究機関であったようです。となりますと、生物・化学兵器の研究や実験自体は、両陣営の諸国において行われていた可能性も否定はできないのです(中国や左翼勢力は、対日批判の根拠を失う…)。

 先週のストーリーのみならず、『刑事フォイル』は、日本国内の従来のステレオタイプ第二次世界大戦観から見ますと、驚きの連続でした。ロングランのドラマであり、第8シリーズまで制作されているそうですので(現在、第4シリーズ・パート1で一先ず終了)、今後の放映が待ち望まれるところです。

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