時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

皇室と外務省は分離すべきでは?

 宮内庁長官の発言以来、揺れ動く東宮問題ですが、この問題は、皇室と政治との距離にも原因があると思うのです。憲法第4条では、天皇は、”・・・国政に関する権能を有しない”と明確に定めており、天皇は、法的に政治にかかわることはできないことになっています。

 しかしながら、この規定は、皇族の公私の区別が曖昧である場合には、有名無実化する可能性があります。それは、皇室のメンバーが、配偶者として政治的な権限を持つ人物、あるいは、その影響下にある人が選ばれる場合には、私的領域という裏道から、皇室と政治が結びついてしまうからです。東宮家に関しては、これが顕著であって、皇族から職員まで、外務所出身者で固められてしまっていると言います。

 本来、我が国が、対外的な危機に直面した場合には、天皇家は、身を挺して神に護国を祈る立場にあり、御自ら自国の安全保障を脅かすことなど、あろうはずもありません。しかしながら、東宮の姻戚に当たる小和田氏は、ハンディキャップ論者であって、独立した国家としての日本国を認めない主張を繰り返してきました(この意味において、皇室外交もまた恐ろしい発想です)。これでは、最後の一人になっても日本国を守るべき立場にある天皇家の一員である東宮家に対して、国民は、強い不信感を抱くことになりましょう。

 天皇が、日本国および日本国民の統合の象徴であり続けるためには、政治から離れていなくてはならないと思うのです。政治とは、対立を付きものとしていますから、むしろ、政治に関わると、国内の分裂要因になってしまうのです。外務省が、東宮家を政治利用しようとしているとしましたら、それは、むしろ、国家の安定と安全を覆す危険な行為と言えるのではないでしょうか。