時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

農政は臨機応変に

 1986年9月のウルグアイ・ランド妥結以来、日本国は、お米の全面禁輸を放棄して関税化を受け入れつつも、高率関税の代償として、一定量の米輸入を受け入れることに同意しました。この結果、我が国では、内外の需給状況にかかわらず、義務的にお米を輸入してきたのです(ミニマム・アクセス)。

 しかしながら、現在、穀物価格が急上昇し、途上国では食糧不足も真剣に心配される中で、我が国が、無理にでもこの義務を果たそうとすることは、馬鹿げた行為と言えそうです。幸いして、政府は、買い付けに失敗し、未だに最低輸入量を満たしていないそうですから、WTOに対して、義務の解除を申し出るべきではないかと思うのです。我が国が、備蓄米の放出を行えば、穀物価格の上昇に歯止めをかける効果ももたらすかもしれません。しかも、ミニマム・アクセスによる輸入米は、販路に窮し、倉庫に備蓄されているため、保蔵費用も相当な負担になっているとも聞きます。

 我々を取り巻く状況は、刻一刻と変化するものです。減反政策の見直しもようやく始まりましたが、農政にあっては、過去に縛られることなく、現在の状況を見据えながら、臨機応変に政策決定を行うべきではないか、と思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>