時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

A級戦犯のみ分祀する理由とは

 靖国神社につきましては、A級戦犯分祀論が唱えられており、分祀に賛成の意見も少なくありません。しかしながら、「平和に対する罪」であるA級戦犯を切り離す根拠は、実のところ、明確ではないと思うのです。

 何故ならば、もし、「平和に対する罪」を問うならば、ソ連スターリンを筆頭に(コミンテルンの陰謀・・・)、中国の蒋介石毛沢東の責任も問わねばなりませんし、また、真珠湾の奇襲につきましても、アメリカのルーズベルト大統領は事前に知っていたとする有力な説もあります。ドイツのヒトラーポーランド侵攻は、明らかに侵略戦争でありましたが、戦犯の中で、「平和に対する罪」が、最も勝者による敗者の裁きという性格が強いのです。また、歴史の研究が進みますと、先の大戦の真相はさらに明らかになるかもしれません。

 むしろ、現代の国際法に照らしますと、「人道に対する罪」に当たるC級戦犯の罪の方が重く、A級戦犯のみ分祀せよ、という主張には、それを要求する中国や韓国の政治的な思惑が見え隠れしています(政権の正当性?)。サンフランシスコ講和条約により、東京裁判の判決を受け入れ、刑も執行されておりますので、ここは一端立ち止まって、もう一度、御霊を祀るとはどういうことなのか、根本に立ち返って考えてみるべきではないか、と思うのです。

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