時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

内需拡大とODAの不思議

 本日、日経新聞の社説「アジア経済再生への日本の役割は重い」を読んでおりましたところ、いささか疑問な点がありました。それは、日本国の内需拡大策として、ODAによる貢献を薦めていることです。

 それでは具体的に、どのような点が疑問であるかと申しますと・・・

(1)ODAによるインフラ整備が日本国の内需拡大に効果を現わすまでには、長期の時間がかかること。
 つまり、一部のODA関連の企業にとっては直接的な利益となっても、目下の不景気に対する対策とはなり得ないことです。

(2)国際的なばらまき財政が、日本国の民間企業の体力を消耗すること。
 国債を発行して政府支出が増加すれば、それだけ、民間への資金の流れが弱まります。民間企業は、不況への耐性を強化し、研究・技術開発費などにコストをつぎ込む必要がある時期に、金融機関からの融資が難しいとなりますと、日本産業の復活は遠のきます。

(3)自国経済の回復なく財政拡大を行っても、アジア諸国と共倒れとなること。
 日本国は、アジア諸国に対して膨大な購買力を持つ消費市場を提供してきました。日本国の経済が停滞したままでは、アジア諸国も輸出先を失い、共倒れとなってしまいます。しかも、財政破綻でも起こしようものなら、日本国は、アジアにおけるプレゼンスを一気に失うことになりましょう。

・・・などです。

 景気対策を立案する場合には、1)応急手当としての政策と中・長期的な政策、2)国内政策と対外政策、3)民間と政府との役割などを区別し、優先順位をつけて採りかかりませんと、結局は、再策効果が分散し、財政負担だけが日本国民に残されるという結果になるのではと、心配するのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。
<A HREF="https://blog.with2.net/in.php?626231">人気ブログランキングへ</A>