時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原油先物市場―投機の規制緩和の怪

 本日の新聞報道によりますと、政府の規制緩和により、個人も国際商品市場に参加できるようになり、大手の証券会社も、原油先物を投資対象とした国内投資信託を始めるとのことです(本日付日経新聞朝刊)。昨年発生した金融危機の原因の一つとして投機行為が指摘され、かつ、原油価格市場のバブル崩壊を経験したことを考えますと、このニュースにわが目を疑ったのは、私だけなのでしょうか。

 一か月ほど前までは、新聞の紙面には、各国で投機の規制強化策が検討されていることを伝える記事はあっても、投機規制の緩和についての記事はありませんでした。ところが、昨日ぐらいから、相次ぐ先進各国の中央銀行量的緩和策の影響を受けて、国際商品市場への投機資金の流入が伝えられるようになりました。商品市場に一般の個人投資家が参加できるとなりますと、投機による一方的な価格上昇を招き(新興諸国の将来的な経済成長を考慮すれば、値下がりを期待しているとは到底思えない・・・)、それは、経済にマイナス影響として跳ね返ってきます。

 規制緩和の措置は、おそらく金融危機の発生以前に行われたのでしょうが、投機のリスクが明らかとなたのですから、見直しこそすれ、投機行為を後押しするような政策は問題です。何か、市場におけるマネー・フローが大きく歪んでいるように思えるのです。

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