時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

集権的な手法による地方分権の矛盾

 政界のみならず、経済界もまた、道州制の導入による地方分権を推進したいようです。しかしながら、この手法、地方住民の意向を素通りした、極めて集権的な方法なのではないかと思うのです。

 そもそも、地方分権とは、地方自治の尊重の上に成り立つものであり、地方住民の自発的な要求があってこそ意義があります。しかしながら、今日議論されている地方分権は、中央の政財界と地方の知事レベルでの合意が先行しており、そこには、地方住民がどのような形での地方自治を望んでいるのか、という視点が抜け落ちています。むしろ、中央が一方的に地方の枠組みを線引きをするかのようで、上からの改革以外の何ものでもないのです。

 都道府県の廃置分合は、法律で定めることもできるそうですが(地方自治法第6条1項)、もし、地方分権を叫ぶならば、住民投票を実施するなり、何らかの形で地方住民の意見を反映すべきなのではないでしょうか。地方無視の地方分権は、結局、地方のためにはならないように思うのです。

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