時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

人事院廃止案―人事の公平性は保てるのか

 民主党政権は、公務員に対して、給与や労働条件に関する交渉権を認め、人事院を廃止する法案を提出するそうです。合わせて、公務員給与を、段階的に7から8%削減するそうですが、この法案には、リスクが潜んでいると思うのです。

 その一つは、政治、特に政権与党が、公務員人事に介入するリスクを挙げることができます。人事院は、政治サイドからの情実人事や介入を防ぐために、高い独立性が保障されています。現行の制度では、能力主義と実績主義に基づいた公平な評価システムがあるからこそ、公務員は、全ての国民のために、法律に基づいて誠実に公務を遂行するものとみなされているのです。もし、政治サイドが人事権を掌握するとなりますと、公務員は、国民ではなく、時の政権の方向を向くことになります。民主党案では、「内閣人事局」を新設するそうですので、この独立性は否定され、内閣の直属となる可能性があります(人治による独裁化?)。

 内閣が人事権を掌握するとなりますと、採用を含めて縁故や口利きが横行し、組織的な腐敗や権力の私物化が起きるかもしれません。官僚主導型にも是正すべき問題点はありますが、常々民主党政権は、従来のシステムを、自己にとって都合がいいように破壊して混乱を起こしていますので、この法案も、要注意であると思うのです。

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