時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

『坂の上の雲』から読む民主党政権のリスク

 昨晩、司馬遼太郎原作の『坂の上の雲』のドラマを、NHKが放送していました。歴史小説ですので、史実とは異なる脚色もあるのでしょうが、旅順要塞への第3軍の攻撃作戦の一部始終の描き方は、現在、我が国が直面している危機をも物語っているように思えるのです。

 昨日のストーリーで、特に興味を惹かれたのは、優秀ではない指揮官をどうするのか、という問題です。乃木希典将軍は、人格者として知られ、後に国民から尊敬されるようになりますが、司馬遼太郎の解釈によりますと、軍の司令官としては能力に欠けていたようです。多大な犠牲を払いながら、二度の正面攻撃に失敗した後に、ようやく、203高地の攻略へと戦略を切り替えるのですが、ドラマでは、この時に、乃木将軍の指揮に業を煮やした児玉源太郎が、指揮権の移譲を迫るシーンが描かれていました(事実か否かについては論争がある…)。児玉は、”日本が滅んではどうしようもない”と考え、敢えて、越権行為を申し出たという設定になっているのです(児玉の越権は、大山元帥によってお墨付きをもらう…)。そして、この児玉の焦りに、民主党政権によって風前の灯となっている日本国民の危機感が重なるのです(民主党が乃木将軍ほどの人格者ということはないけれども…)。

 司令官の肩に兵士の命がかかっているのと同様に、国政を担う者の肩には、1億3千万人の国民の生活がかかっています。政治を担う者に能力がなければ、国民は、甚大な犠牲を払うことになるのではないでしょうか。

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