時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

大阪市の関西電力株売却は誰のため?

 昨日の関西電力株主総会で、3分間しか発言時間が認められなかったことに憤慨してか、大阪の橋下市長は、関電株の売却の検討を言い出したそうです。もとより、大阪知事時代から、保有株の売却構想はあったそうですが、この計画、誰のためなのでしょうか。

 地方自治体の多くが、電力会社の株を保有している理由は、電力供給の公共性を考慮してのことではなかったかと推察します。地方自治体は、自らが大口の株主となることで、電力事業の安定化を図ろうとしたのでしょう。電力事業が不安定化しますと、地元産業にも住民生活にも、悪影響が及ぶからです(今では、地方自治体そのものが不安定要因に…)。この意味において、地方自治体の電力株保有は、理解の枠内にあるのですが、橋下市長は、電力会社の経営に口を挟めないことを理由に、株式を売却してしまおうと考えているのです。地方自治体が保有する株式の売却については、民営化と同様に、政策課題とはなり得るのですが、橋下市長の手法は、どこか短絡的で、乱暴でもあります。

 しかも、関電株が大量に放出されるとなりますと、株価の下落とその隙を狙った投資家の動きを誘発することになります。もしかしますと、有望な投資先を探している中国の政府系ファンドが、関電の筆頭株主として登場してくるかもしれません。橋下市長の株売却案は、脱原発だけを目的としているとも思えないのです。

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