時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

原発比率ゼロは国民の総意?

 野田政権は、大飯原原発を再稼働させたものの、中期的なエネルギー政策に関しては、原発比率をゼロにもってゆきたいようです。民主党政権は、民意を尊重すると言いながら、原発比率ゼロは、国民の総意なのでしょうか?

 この件に関して、政府は、意見聴取会、討論型世論調査パブリック・コメントの募集の三つの方法で世論を探りました。その結果は、と申しますと、意見聴取会では7割が、パブリック・コメントでは集計済みに限れば9割近くという圧倒的な比率で、原発比率ゼロを支持したそうです。ところが、興味深いのは、討論型世論調査結果です。この仕組みは、無作為に電話調査に応じた人々から希望者を募って討論会に参加してもらい、専門家を交えた討論の結果導かれた各自の選択を、最終的に集計・分析すると言うものです。この調査方法では、最初の無作為の電話調査の段階では、32.6%しか、原発ゼロを支持した回答者はいません。その後、参加希望者では41.1%、討論後には、46.7%と支持率が上昇してゆくのです(討論に参加した専門家は、再生エネ派が中心…)。

 これらの三つの調査によって見えてくるのは、意見聴取会やパブリック・コメントでは、組織票が大量に動いているという事実であり(偏りが著しく、信頼性に乏しい…)、討論型世論調査も、無作為の電話調査のように、誘導が働かなければ、一般の国民の原発ゼロ支持は、3分の1にも満たないということです。民主党政権は、”焦土作戦”のように、原発ゼロを打ち出したいようですが、国民の多くは、政府が主張するほどには、原発ゼロを支持していないのではないでしょうか(エネルギー政策では、国民の利害関係が複雑に分化するので、そもそも、国民の大多数が同一の政策を支持するはずがない…)。

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