時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

竹中氏の”規制緩和”は国への”寄生強化”?

 小渕政権以来、政府の経済有識者会議に常々名を連ねていた竹中平蔵氏。現在も、日本経済再生本部の「産業競争力会議」、並びに、国家戦略特区の特区諮問会のメンバーに就任しておりますが、人材派遣会社パソナの取締役会長でもあります。
 
 氏の主張の柱は、規制緩和や既得権の打破による日本経済の活性化です。日本国の経済低迷の原因は、高すぎる規制レベルや既得権に縛られた硬直性にあるとし、規制改革や構造改革は待ったなしと訴えています。新自由主義者の申し子とも評されたように、自由化促進こそが経済問題の処方箋とする立場にありますが、パソナ問題の発覚は、氏の説の別の側面を浮き上がらせています。それは、政府事業の民営化や民間委託の通した新たな利権の創設です。かつては、利益誘導と言えば、土建業などが代表格でしたが、氏は、政府内で発言力を行使することで、金融業やサービス業に新たなレント・シーキングのチャンスを開拓しようとしているように見えるのです。年金積立金管理運用独立行政法人の年金基金の運営も、外資系を含めた民間金融機関に委託されますしたし(この件は、竹中氏の発案かどうかは分かりませんが・・・)、雇用政策も人材派遣業への委託が相次いでおります。いわば、官民二重構造の出現により、二重コスト、あるいは、委託民間企業の中間利得者化が進行していると見立てることもできます。
 
 そしてそれは、民間の活力を活性化するのではなく、政府と特定企業との癒着を生み出しているに過ぎません。”規制緩和”が”寄生強化”であるならば、国民にとりましても、経済にとりましても、決して望ましい方向性ではないと思うのです。
 
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