時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

日本国の公務員改革は改悪であった?-パソナ問題

 つい数年前まで、官僚の天下りは、官財癒着の温床として、公務員改革の重要な柱と見なされていました。その結果、官僚の再就職の斡旋は、民間の人材会社の委託事業となったのですが、この改革、方向性が間違っていたのではないかと思うのです。
 
 民間の人材会社が公務員の再就職斡旋事業を受託することで、表面上は、官僚と企業との直接的な癒着は解消されたように見えます。しかしながら、このシステムでは、事業を受託した一民間企業が、再就職先とはいえ、公務員の”人事”に関わる利権を独占する結果を招きます。そしてそれは、日本国の公権力に関わる情報や人脈が、特定の民間企業に掌握されることを意味するのですから、極めて危険なことでもあります。改革以前では、利権は広く省庁や企業に分散していましたが(もちろん、この状態が望ましいわけではありませんが…)、改革後は、人材企業に集中しています。しかも、今度は、官財のみならず、政官財の癒着となり、癒着の範囲も拡大してしまったのです。これでは、改悪としか言いようがないのではないかと思うのです。
 
 今では、防衛省を退職した自衛官の再就職先も、疑惑の闇に包まれているパソナが請け負っているそうです。公務員の再就職については、人事院こそが、再就職斡旋の利権化を防ぎ、国家情報の保護や人脈の安全性を確保するシステムを構築すべきではないかと思うのです。
 
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