時事随想抄

歴史家の視点から国際情勢・時事問題などについて語るブログ

シャープが合意したとは思えない鴻海案

 昨日、電撃的に、シャープが台湾の鴻海から巨額の支援融資を受け、鴻海傘下に入るとのニュースが報じられました。しかしながら、時間が経過するにつれて、雲行きが怪しくなっております。

 鴻海の郭会長は、”優先交渉権”をシャープ側から取得したと述べていましたが、シャープ側は、この発言を否定しております。また、先立ってのシャープ側の説明では、鴻海側の提案は、全事業の一括支援であり、技術のみならず、雇用も確保される予定とのことでした。しかしながら、本日の報道によりますと、鴻海側の提案は、太陽光発電部門は切り離し、しかも、雇用の保障は40歳以下の若手社員に限定されており、両者の間には食い違いが見られます。鴻海の背景には、中国が見え隠れしておりますが、本体から切り離された太陽光発電部門は、国策として当分野に集中投資を行ってきた中国の政府系企業に売却される恐れもあります。また、ベテラン社員はリストラの対象となるのですから、シャープの社内では、反対論が噴出してもおかしくはありません。

 この”買収案”、鴻海会長の積極的なアプローチに応じる形で、シャープ社長のトップ会談で纏まったともされていますが、独裁型の郭会長による、一種の”奇襲作戦”のような気もします。少なくともシャープが、同案で合意したとは思えないのです。

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